『定本 想像の共同体』 B.アンダーソン 著 白石隆・白石さや 訳 2007年刊 書籍工房早山 

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定本 想像の共同体
B.アンダーソン 著 白石隆・白石さや 訳
2007年刊 書籍工房早山

ナショナリズム研究に関する基本であり、極めて強力な書物である。
様々な切り取り方ができる厚みをもった研究であるが、
最も基本になるのは言語と帰属意識に関する部分であろう。
不安定で変化の著しい俗語が、書き言葉として固定され、
それが印刷物として流布することで人々の間に「国民」という意識が
抜き差しならないものとして浮かび上がる。
そこでは個人のアイデンティティと国民としてのアイデンティティは、
コインの表裏のように一体である。
「母の膝の上で出会い墓場にて別れるまで、
その言語を通して過去が蘇り同胞愛が想像され
そして未来が夢見られる」のであり、
そこに祀られた国家という観念のために
「途方もない数の人々がみずからの命を投げ出」してきたのである。

 

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水の落とし穴 ~琵琶湖大橋周辺 夏~

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夏空の風景が美しいびわ湖。

シーズンにはレジャーを楽しむ多くの人で賑わいます。

 

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ヨット、釣り船、モーターボート、水上オートバイなど、賑わい過ぎて混み合っています。

 

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釣りをしている人から見れば、モーターボートは静けさを打ち破る無法者で、逆から見れば多数の釣り船はごちゃごちゃした障害物に見えているしょう。

 

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びわ湖で起きる船舶・水難事故は、警察に届けられたものだけで年間60件以上。

年間と言っても夏場が中心になるでしょうから、シーズン中は毎日びわ湖のどこかで事故が起きているという感じになるでしょう。

 

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年間5000件を超える県内の交通事故から見れば、小さな数字なのですが、水の事故には大きな落とし穴があります。

 

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水の事故では、亡くなる確率が跳ね上がるのです。

年間5000件の交通事故で、亡くなる方は50名程度ですが、年間60件の船舶・水難事故の場合、亡くなる方は10名を越えます。

交通事故で亡くなるのは1%、水の事故では50%なのです。

 

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安全意識と安全装置の違いで、事故の様相は大きく変わります。

一見何もない開放的で広いびわ湖の水面ですが、技術の過信やちょっとした油断によって、そこが大きな落とし穴に変わることもあるのでしょう。

 

 

ある富豪の生涯 ~大阪市中央公会堂~

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明治の終わり頃、国のあらゆる機能が帝都東京に中央集権していき、大阪の誇った「天下の台所」機能も相対的に影が薄くなってきていました。

 

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その大阪の町おこしに、現在の貨幣価値で数十億円をポンと寄付したビッグなお金持ちがいました。

 

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「北浜の風雲児」と言われた株式の仲買人岩本栄之助という人です。暴落時に徹底的に株を買い進めるという相場師らしい大胆な人でした。

 

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大阪市公会堂(中之島公会堂)は、その寄付で建てられました。

 

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設計は岡田信一郎と辰野金吾という、近代日本の建築を代表するこれもビッグなお二人。

 

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隅々までしっかりと施された意匠の数々が素晴らしい建物です。

貨幣価値としては数十億円かもしれませんが、その何倍もの情熱が注ぎ込まれたもののように思います。

(この規模のホールを建てると、今なら100億円くらいはかかるようです)

 

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ところが残念なことに、この建物の完成を見ることなく富豪の岩本さんは亡くなってしまいます。

相場で失敗しての自殺でした。

第一次世界大戦を契機として起きた大正のバブル。その上昇相場に果敢に売り向かっての徹底的な敗北でした。青天井で燃え上がる相場に身ぐるみはがされて、身も心も焼き尽くされたという感じでしょう。

この時期に起きていた変化は、日本の産業構造まで変えてしまうような劇的で長期にわたるものでした。ヨーロッパの小競り合いに始まり、誰もが「クリスマスまでには」終わると楽観していた戦争は、ヨーロッパ全土からその植民地にまで広がる世界大戦になり、4年間も続きました。戦争によって世界の構図は変わり、日本も大きく変わったのでした。いくらお金持ちでも、とても一人の相場師が戦える相手ではなかったのです。

相場の世界をたくましく生きた富豪は、時代の節目の巨大な断絶の間に真っ逆さまに落ちてしまいましたが、彼の寄付したものはその時代を代表する名建築として残り、中之島一丁目一番地で、今も活躍中です。

 

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勝手にパラダイス ~グランフロント大阪 せせらぎのみち~

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ここは大阪駅北地区、通称「うめきた」

 

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JR貨物駅が再開発された、大阪最後の一等地と言われる場所。。

 

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超一流企業のオフィスとオシャレな有名ブランド店が多数入居する複合高層ビル、グランフロントの前。。。

 

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ここはそのビルの「せせらぎのみち」という施設の一部です。

遊園地ではありません。市民公園でもプールでもありません。

ビルが特別なイベントを催しているわけでもありません。

 

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ママと子どもたちが、大阪最後の一等地で勝手にパラダイスしているだけです。

そして、それは大阪の夏の風物詩になっています。

どこか大阪名物放置自転車と共通する超法規的な自由きままさを感じますが、とても楽しそうです。

 

 

ビクター犬のつぶやき ~梅田スカイビル 七夕~

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梅田スカイビルでは6/3~8/3まで、ロングランの七夕が行われています。

 

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仙台風の七夕飾りが飲食街などにたくさん見られます。

 

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大量にある短冊に書かれた願い事には、ユニークなものも多いです。

 

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(桃太朗くん、それは願い事ではないよ・・・)

と、ビクター犬がつぶやいているように見えました。

 

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パティスリーとっと(認定NPO法人 トゥギャザー)さん 中国・四国まつり

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梅田スカイビルのパティスリーとっとさん。中四国の福祉事業所で作られている製品の特集をされていたので行ってきました。

 

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クッキーなどの定番に地域の特色を加えて一工夫した製品が、いろいろとありました。

 

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香川県のDoやまびこさんの「讃岐うどんさくさく」。

7種類の味のあるかりんとうです。

こちらの施設では完全手打ちの本場讃岐うどんも作っておられます。

他にもその自慢の讃岐うどんが入ったアイスクリームもあるそうです。

 

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こちらは高知県のジョブなしろさんのグァバティーです。

瓶入りのグァバジュースグァバゼリーもありました。

 

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こちらは中四国のものではありませんが、夏場に人気の熊本みかんゼリー。

 

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梅田スカイビルでは仙台風の七夕まつり開催中でした。

 

 

ハイブリッドの神様 ~明治神宮~

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明治神宮は鎮座100年に向けて、現在突貫工事中です。

明治天皇と昭憲皇太后がここに祀られたのが大正9年(1920年)で、次の東京オリンピックの年(2020年)が鎮座100年にあたります。

 

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前回のオリンピックの時も明治神宮のある代々木と神宮外苑は主要な会場であり、オリンピックと明治神宮の間には深い関係がありそうです。

むしろ鎮座100年に合わせて、何が何でもTOKYO2020招致が行われたのではないかと思えるくらいです。

 

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もちろんオリンピックの招致は以前から行われてはいましたが、2020へのこだわりには特別なものを感じます。

・・・感覚的なものでしかありませんが・・・

 

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そこで重要なキーワードが「国威発揚」です。

明治神宮は開国から富国強兵へと進んだ近代日本のシンボルである明治天皇を祀る場所です。

 

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代々木は占領軍施設だったところを、オリンピックを契機に日本が取り戻した場所であり、代々木競技場は戦後日本の技術力の高さを世界に誇示する建築でした。

そして世界的に有名になったこの建物は、明治神宮本殿正面の直線上にあり、屋根の形は神社の社殿を思わせ、上から見た形は勾玉のようです。

丹下健三の天才的なひらめきに満ちたこの建物は、明治神宮と一体的に存在し、近代世界における日本の「国威」を端的に表すものとなっています。歴史的にも意匠的にもです。

だからこの場所であり、だからその年でなければならなかったと思えるのです。

さらに言えば、だから新国立競技場は徹底的にザハではなく、絶対的必然的に隈研吾でなければならなかったとも思えます。

 

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隈研吾は丹下健三の設計した代々木競技場を見て、建築家を志した人であり、現在建設中の明治神宮ミュージアムの設計者でもあります。

神宮本殿の直線上に丹下があり、さらにその延長線上に隈があるとも言えるでしょう。

最初から本命だったはずの人が、最初は応募さえせずに、決定後の大どんでん返しであっさり設計者に決まるというのは、あまりに劇的で出来過ぎの感もあります。

 

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そしてもうひとつ重要なのが、100年前に11万人の勤労奉仕で植林され、設計通りに原生林化した<神宮の杜>の存在です。

 

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近代的科学的知識と国民の団結によって人工的に完全な森林をつくることに成功していることと、巨大でモダン建築を膨大な木材で覆う隈健吾は、100年の時を経て共鳴しています。

 

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神道的であり復古的でありナチュラリズムでもあるものが、同時に近代的であり科学的てありナショナリズムでもあること。

気高い奉仕の精神と愛国心と信仰心と洗脳的教育と強制的労働と植民地支配とが、解き難くワンセットで提示されること。

TOKYO2020は、一見矛盾するものをシームレスに結びつけるハイブリット技術によって出来上がっていくのかもしれません。

 

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そしてそこで<和魂洋才>が日本人のアイデンティティとして再発見されていくのかもしれません。

 

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真夏の都市伝説 ~相生橋~

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1990年代に架け替えられた相生橋。

細身の鋼材を組み合わせたトラス構造で、重厚な永代橋やバブリーな中央大橋などと比べ、軽快でリズミカルな印象です。

 

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夜はライトに照らされて黄色く見えますが、本来は薄い緑色です。

 

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この橋を越中島側に渡ると東京海洋大学の明治丸が見えます。

夜中に写真を撮ると幽霊船のようです。

・・・ちょっとかっこいい・・・

 

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そういえば相生橋も巨大な骸骨のようにも見えます。

<<<この世とあの世を繋ぐ骸骨橋と幽霊船!>>>

この夏限定、最新都市伝説の誕生です。

 

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★隅田川にかかる橋シリーズ

 

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盛り場人生 ~辰巳新道~

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門前仲町の辰巳新道。

戦後の闇市からはじまり、今も昭和の盛り場の雰囲気を色濃く残す場所として人気があります。

東京メトロのCMでも取り上げられています。

 

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古くて狭いスナックや居酒屋がひしめいていて、ごちゃごちゃしていまが、こういう場所は、きれいに整備されると活気を失うのでしょう。

 

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あまりスマートになるとたぶん人間は生きにくい。
狭くてごちゃごちゃでボロボロでも、活気のある人生の方が、きっといいということなのかもしれません。

 

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こちらがCMで石原さとみさんが、おいしそうに煮込みを食べていたニューもつよし。食券制の居酒屋です。

 

 

都市の墓標 ~中央区佃~

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1990年代、旧石川島播磨重工の跡地はウォーターフロントとして再開発され、リバーシティ21に生まれ変わった。しかし、そこに隣接する佃の町には再開発とは全く無縁だった場所が今でも多く残っている。

 

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こういう場所は昭和のノスタルジーだとも言えるし、実際それをアピールする飲食店もある。

 

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しかし今にも崩れそうな昭和の長屋と、平成の再開発で生まれた超高層マンションを並べると、大きな落差というか都市における生活の格差を感じざるを得ない。

 

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そしてタワーマンションには、投資目的で購入され一度も灯りのついたことのない部屋も多い。

都市の大規模再開発は、神々しい光を放つのでそれによって生まれる影も濃いものになる。

 

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老朽化して人の住めなくなった廃墟と、最初から人の住まない空っぽのマンションが並べば、ここはやがてかつてと同じ無人島に戻ってしまうのだろう。

それは格差の果ての究極の未来。

 

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先ほどまで明るい監獄だと思っていた風景が、今度は都市の墓標のように見えてきた。