舞鶴は日本海を臨む「海の京都」。
舞鶴湾は海岸線が奥深く複雑な形のリアス式の地形で、
その港は波の静かな日本屈指の天然の良港です。
近畿百景のトップに選ばれたこともある美しい風景ですが
近代には対ロシアを意識した軍港(鎮守府)として開発され
現在も海上自衛隊の重要な拠点が置かれています。
逆にいうと軍事的なものの存在感が大きすぎて
重苦しい感じがしてしまうところでもあります。
そんな重苦しい印象を覆そうと
舞鶴の絶景ポイントに立つ五老スカイタワーでは
ラバーズツリー&ラバーズキーを設置、販売し
関連イベントも開催されているようですが
そこに置かれた軍艦の錨と比べても
太平洋側にある梅田のスカイビルの鍵と比べても
どうもひ弱で貧弱に見えます。
観光地として考えた場合、
中国や韓国の人たちは
自分たちの国の方に狙いを定めている軍港を
訪れようとは思わない、
という致命的な弱点もあるでしょう。
舞鶴には海軍の倉庫などに使われていたレンガの建物が
多く残されていて
ライトアップされているとそれなりに素敵なのですが
観光資源としては
生まれ変われそうで変われていない
いま一つ垢ぬけない感じが残ります。
明治の建築をリノベーションしたおしゃれなカフェ
になり損なった強制収容所跡
のような・・・
かなりお金がかかっているのに
それが新たなお金の流れに変わっていない。
即ち資本の墓場になってしまった箱モノの域を
十分に脱することができていない残念さがあるように思います。
赤れんがを背景に行われる
こんなチョークアートのイベントもなかなか素敵で
見入ってしまうものですが
残念ながら人が集まっていません。
そこに人を集められないと
自己完結で終わってしまうのが惜しいところです。
(制作は松本かなこさん)
海軍の遺産をもっと活用するには
今の総花的な路線を
大胆に変更する方がいいのかもしれません。
ご近所の恋人たちではなく
軍事を愛する
ミリタリーな女子や
ミリタリーなフリークを集めて
ミリタリー・ラヴァーズの街を目指す。
あるいはセーラーズの街か…
そう決めると力が一点に集中するので
おそらく一気に垢抜けます。
そんな極端な舵の切り方が
いいのかどうか、
もちろんその航海の進路を決めるのは
ずっと昔からこの鎮守府を愛する
この町の乗組員の人たちです。