「お下がり」という発明

パンセバナー2

神仏に供えられたものが

「お下がり」として周囲に配られるという行為は、

富を再分配するある種の経済活動を表しているようだ。

寄進する者は自らの所有権を神に向けて放棄する。

寄進された「モノ」は世俗の権利関係から切り離され、

一旦この世のものではなくなる。

その時、財は浄化され「浄財」となる。

そして「浄財」は誰のものでもない新たな財

「お下がり」として世俗に還流する。

世俗の富の偏在が神の前の再分配として調整されるのである。

冨を再分配するために

社会の中心に超越者を据えるというのは

人類史上最大級の社会的発明であっただろう。


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