逃げ遅れた人の末路

 

ブレグジットについて何も決まらないまま、首相の辞任だけが決まったイギリス。

 

メイ首相に交渉力がなかった、というか意見をまとめる能力が皆無の人が政治家であること自体がもともと間違っているのだが、他に首相の成り手がいなかったのだから仕方がない。
国民投票でブレグジットが決まった時、離脱派も残留派も全員がこの難し過ぎる話を放り出した。
しかしテリーザ・メイは、みんなが逃げ出したその場所に取り残されてしまった。おそらくみんなが恐れをなしているその空気をまったく読めていなくて逃げ遅れたのである。
あれ?なんで自分ひとり?国民投票で決まったことなのにどうしてみんな反対してるの????
そしてそのまま3年
イギリス議会は火中の栗をひとりでかかえたままの首相を全方位から攻撃し続けた。
なのにどの方向からも代わりに首相になろうという人は出てこなかった。
そして首相の辞任が決まった今、次の候補は何も決めないままの勝手離脱である。
イギリス議会は完全に機能不全で、政治家の資質にも根本的な問題があり、こんな状態ではいつ暴動が起きてもおかしくないはずなのに、街中に設置された監視カメラで不穏な動きは補足されてしまう。
これは民主主義による民主主義の圧殺、民主主義の新たなる終焉の形なのかもしれない。

 

おつきあい先進国

アメリカの大統領が日本に来てゴルフをして相撲を観て炉端焼きに行っている。

 

 

おじさんたちがどこで酒を飲んで、どこのじゃがいもを食べたかとか、本来そんなことはどうでもいい話なのだが、そんなどうでもいいことが今のグローバルな政治・社会情勢の中では最も注目されるイベントになっている。
アメリカは中国ともイランとも北朝鮮とも対立し、ヨーロッパは議会が機能不全で音信不通である。
そんな緊迫した先の読めない世界の先の読めない大統領と唯一まともに話せるトップが日本の首相である。

だからこの二人のゴルフや炉端焼きでの空気が、世界のこの先を主導することになる。驚くべきことだ!

 

本来日米というのは、愛憎相半ばという関係のはずである。
強引なアメリカに戦いを挑んで何度も殺されかけているのが日本である。
だからアメリカの側に立ちながら、中国のいら立ちにも、イランの悔しさにも日本は最も共感できる。
そして戦争でも貿易でも、アメリカと対立してもろくなことにならないということを日本は誰よりもよく知っている。
その恐ろしさも悔しさも全部理解しながら、一緒にゴルフをして居酒屋に行く。
日本は、アメリカに対する<おつきあい先進国>と言えるのかもしれない。