『超孤独死社会』菅野久美子 著 2019年刊 毎日新聞出版

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孤独死と特殊清掃の現場を追ったルポルターシュ。

 

社会とのつながりを失い、セルフネグレストからゴミ屋敷化して、その中で生活し死を迎えるという姿は、世界で最も劣悪な生活環境の一つであろう。

その現場に遭遇したら、抗争中のマフィアたちでもたじろぐだろうし、スモーキーマウンテンの子供たちでもあきれるだろうし、テロリストたちも神に祈るだろう。

その現場は想像を絶し比類がない。

 

そこに見られるのは、社会から切り離された人間がどのような姿をしているのか、である。

マフィアにもテロリストにもゴミ捨て場の子供たちにも<社会>はある。しかし孤独死の現場にはそれがない。

そこにあるのは社会的には何者でもない者の<閉じこめられたプライバシー>である。

誰もがこの上なく尊重する個のプライバシーは、実はあまりに醜悪なために誰もが隠しあっているものなのかもしれない。

その姿は社会問題を突き抜けて、「人間とは何か」「社会とは何か」という哲学的課題に突き当たる。

そこでは、サルトルもフロイトもアーレントも絶句するしかないだろう。

 

そしてその現場は、アパートの壁1枚を隔てただけの隣室にある。

床の下にはごみの中で窒息死した亡者の奈落がある。

天井が抜けて蛆とゴミと死体が降って来るかもしれない。

 

さらに驚くべきことに、昼間は普通に職場で生活し、夜はゴミ屋敷で生活している人もいる!人間は自らを完全に二重化できるのである。

『サブスクリプション』ティエン・ツォ、 ゲイブ・ワイザート 著  桑野 順一郎, 御立 英史 訳 2018年刊 ダイヤモンド社

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事業のサブスクリプション化を考えるときにとても参考になるのがこの本。

現在のアメリカのサブスクビジネスのど真ん中にいるズオラのCEOの書いたもの。アメリカのビジネス書らしくやや暑苦しくて冗長ではあるが、サブスクの核心に近づける内容だと思う。

水の良し悪し

 

最近暑いのでミネラルウォーターをよく飲む。

 

 

目の前にびわ湖があるがびわ湖南部の水質は、特に夏場はあまり良いとは言えない。頻繁に赤潮が発生していた頃に比べれば水質は格段に改善しているが、それでも良くも悪くもびわ湖の水が蒸発しながら集まって来る南部は、良くも悪くも豊栄養化する。加えて今は上水設備のインフラ老朽化も心配だ。

ボトル入りの水の一般的なサイズは500mlなのだろうけれど、コップ2杯分の330mlの方が扱いやすいと思う。
日本人には飲みやすいとされる軟水よりも中硬度の硬水の方が飲み飽きないような気がする。この4本の中ではFIJIウォーターが一番ベーシックな選択になるかもしれない。

鏡の国の金融セクター

 

6月2日付の日経新聞に世界130か国の企業収益についての記事があった。

 

 

低金利の影響で先進国の銀行の業績は悪く、日本では地銀の株価は解散価値の3割程度と言われているにもかかわらず、グローバルに見渡すと金融セクターの力は圧倒的に強い。
各国でトップ企業を集計すると、その45%が金融であるということだ。
途上国と先進国では見えている世界が鏡の国ほど違う!
資金需要が少なくて低金利になっている先進国から、資金需要の旺盛な途上地域にどんどんじゃぶじゃぶお金が流れているということのようである。
スペインでは中南米に強い銀行が9400億円の純利益を出している。
そしてこの途上国で金融の飛躍と表裏一体なのが通信やITのコモディティ化である。
極端に安くなったIT技術を使って世界のベース・オブ・ピラミッド40億人をカエル飛びさせるというストーリーがそこにある。
そしてコモディティ化の中心にあるのが中国であり、低価格高品質の通信を担ったのが現在米中摩擦の中心になっているファーウェイである。

大きな見取り図としては、世界に中国という10億人工場が出現し(新大陸の発見!)それを中心に世界の産業構造が再編され、その再編に突然楔を打ち込んでアメリカがブレーキをかけようとしているが、その資金源は低金利のドルだ!という構造問題。

いつか見た革命

 

次は大阪でG20。

注目の世界会議で、日本の首相はかなりはしゃいで、多分ちょっとすべります。

ちょっとくらいならいいのですが、大きく滑ってずっこけることにならないことを祈ります。

 

 

さて、そんなG20を含む現在の世界の枠組みは、かの冷戦終結から始まっています。
ベルリンの壁が崩壊して、時代の振り子はグローバリズムの方へ大きく振れて振れて振り切れました。
世界中のいたるところで「革命」の火の手が上がり、炎上、類焼、伝染、熱病と長く長く連鎖し、その都度多くの人たちが泣いたり叫んだり、殴ったり殴られたり、牢屋に入れられたり、亡命したり、難民になったり、撃たれたり死にかけたり、本当に死んだりしました。
(その間、日本はずっと「失われ」続けていました)
それからだいたい30年くらいたった今、その振り子は2~3割元に戻っているようです。
色の革命からは彩が抜け落ち、花の革命もすっかり萎れています。イギリスのEU離脱、米中の対立は言うに及ばず、国家は内向きで、国民は分断されることで安心を得ようとしているように見えます。国境をまたぐデジタルに対する制裁金や課税にもその傾向が表れているように感じられます。
「グローバリズムの推進」という言葉は、もうすっかり中身の燃え尽きた空虚なものに聞こえるようになりましたが、それはグローバリズムというものが社会や生活の一部になってしまったからなのでしょう。
グローバリズムが未来の<夢>でなくなったので、人々は過去のノスタルジーに熱狂するようになっているということなのかもしれません。
本来はここからが地に足の着いたステップを踏めるはずのところなのですが、夢見るように仕組まれた生き物は、夢に溺死することを夢見続けます。

時代の振り子はいつも行き過ぎた流行り廃りで、その都度多くの人たちが泣いたり叫んだり、殴ったり殴られたり・・・・それは何千年かの人類史で最も馴染み深いデジャブのひとつ、<いつか見た革命>です。

 

 

逃げ遅れた人の末路

 

ブレグジットについて何も決まらないまま、首相の辞任だけが決まったイギリス。

 

メイ首相に交渉力がなかった、というか意見をまとめる能力が皆無の人が政治家であること自体がもともと間違っているのだが、他に首相の成り手がいなかったのだから仕方がない。
国民投票でブレグジットが決まった時、離脱派も残留派も全員がこの難し過ぎる話を放り出した。
しかしテリーザ・メイは、みんなが逃げ出したその場所に取り残されてしまった。おそらくみんなが恐れをなしているその空気をまったく読めていなくて逃げ遅れたのである。
あれ?なんで自分ひとり?国民投票で決まったことなのにどうしてみんな反対してるの????
そしてそのまま3年
イギリス議会は火中の栗をひとりでかかえたままの首相を全方位から攻撃し続けた。
なのにどの方向からも代わりに首相になろうという人は出てこなかった。
そして首相の辞任が決まった今、次の候補は何も決めないままの勝手離脱である。
イギリス議会は完全に機能不全で、政治家の資質にも根本的な問題があり、こんな状態ではいつ暴動が起きてもおかしくないはずなのに、街中に設置された監視カメラで不穏な動きは補足されてしまう。
これは民主主義による民主主義の圧殺、民主主義の新たなる終焉の形なのかもしれない。

 

おつきあい先進国

アメリカの大統領が日本に来てゴルフをして相撲を観て炉端焼きに行っている。

 

 

おじさんたちがどこで酒を飲んで、どこのじゃがいもを食べたかとか、本来そんなことはどうでもいい話なのだが、そんなどうでもいいことが今のグローバルな政治・社会情勢の中では最も注目されるイベントになっている。
アメリカは中国ともイランとも北朝鮮とも対立し、ヨーロッパは議会が機能不全で音信不通である。
そんな緊迫した先の読めない世界の先の読めない大統領と唯一まともに話せるトップが日本の首相である。

だからこの二人のゴルフや炉端焼きでの空気が、世界のこの先を主導することになる。驚くべきことだ!

 

本来日米というのは、愛憎相半ばという関係のはずである。
強引なアメリカに戦いを挑んで何度も殺されかけているのが日本である。
だからアメリカの側に立ちながら、中国のいら立ちにも、イランの悔しさにも日本は最も共感できる。
そして戦争でも貿易でも、アメリカと対立してもろくなことにならないということを日本は誰よりもよく知っている。
その恐ろしさも悔しさも全部理解しながら、一緒にゴルフをして居酒屋に行く。
日本は、アメリカに対する<おつきあい先進国>と言えるのかもしれない。