1990年代、旧石川島播磨重工の跡地はウォーターフロントとして再開発され、リバーシティ21に生まれ変わった。しかし、そこに隣接する佃の町には再開発とは全く無縁だった場所が今でも多く残っている。
こういう場所は昭和のノスタルジーだとも言えるし、実際それをアピールする飲食店もある。
しかし今にも崩れそうな昭和の長屋と、平成の再開発で生まれた超高層マンションを並べると、大きな落差というか都市における生活の格差を感じざるを得ない。
そしてタワーマンションには、投資目的で購入され一度も灯りのついたことのない部屋も多い。
都市の大規模再開発は、神々しい光を放つのでそれによって生まれる影も濃いものになる。
老朽化して人の住めなくなった廃墟と、最初から人の住まない空っぽのマンションが並べば、ここはやがてかつてと同じ無人島に戻ってしまうのだろう。
それは格差の果ての究極の未来。
先ほどまで明るい監獄だと思っていた風景が、今度は都市の墓標のように見えてきた。
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