『職業としての政治』 マックス・ウェーバー 著 脇圭平 訳 1980年刊 岩波文庫 

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職業としての政治
マックス・ウェーバー 著 脇圭平 訳
1980年刊 岩波文庫

 

1919年にドイツで行われた講演の記録。
第一次大戦敗北後の絶望と無力感、焦躁と憤りのミュンヘン。
行き場を失った人々のさまよえる魂が
根拠のない革命の熱気に飲み込まれていく。
絶望を忘れるためには熱病に罹るしかないかのように。
そこに生れようとする巨大なむき出しの暴力を目の前にして
ウェーバーは語った。
しかし、どれほど論理を研ぎ澄まし倫理を訴えても
それが会場の外にまで響く事はなかった。
悪魔に倫理を対峙させても効果はない。
最終的にヒトラーという悪魔を退治したのは
もう一人の悪魔スターリンだった。
権力が暴力の争奪であることを戦争が証明したのである。

 

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『今こそ読みたいマクルーハン』 小林啓倫 著 2013年刊 マイナビ出版

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『今こそ読みたいマクルーハン』
小林啓倫 著
2013年刊 マイナビ出版

 

この本の出版元であるマイナビ出版(毎日コミュケーションズ)は、
パソコン全盛の頃にはわかりやすく上質なソフトの入門書を多く出版し
好評を得ていた会社である。
現在は電子化の大衆化やネットワーク化が猛スピードで進展し過ぎて
オーソドックスな入門書の出番は少なくなってしまった。
そこで従来の顧客層であるビジネスの分野を中心に
新書をラインナップするようになった。
この本もその流れの中の一冊である。
マクルーハンはビジネスや自己啓発や儲け話に
直接関係する人ではないが、
企業と関係しながら議論を発展させて面も持っていて、
SNSなどの新しいメディアの登場を予言しているようなところもあるので、
やや無理矢理ではあるがビジネス向けの新書に入れられている。
そんなことなのでこの本も
マクルーハンを通して現代のメディア状況を考えるというレベルではなく、
マクルーハンを通して現代の表層を少しなぞる程度の内容である。
しかし入門書としてはこれくらいの方がわかりやすいだろうし、
これくらいの情報があれば知的議論の十分な土台になるだろう。

 

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『新書で名著をモノにする「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」』牧野雅彦 著 2011年刊 光文社  

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新書で名著をモノにする「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」3

 

『新書で名著をモノにする「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」』
牧野雅彦 著
2011年刊 光文社

 

長年電車のつり広告で読者をひきつけてきた出版社ならではの
発想でつけられた軽いタイトルであるが、内容はしっかりとした入門書。
逆に軽いタイトルにひかれてこの本を手にした人は
硬派な内容に頭を悩ますかもしれないが、
その落差こそこの本の企画の狙いなのかもしれない。
さて内容であるが『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』の本文を
丁寧に解説しながら同時にマルクス、ゾンバルト、ニーチェ、シュミットとの
比較も行われている。
ウェーバーとゾンバルトの微妙な違いを指摘したり、
プロテスタント諸派から『古代ユダヤ教』にも遡ったりと
コンパクトな本であるが読み応えのある内容になっている。
ストライクゾーンの四隅を切れのいい速球で攻めながら
真ん中に深く落ちるカーブが組み合わされているような構成である。

 

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2017 お中元商談会

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4月25日 JGCグループの2017年お中元商談会が

ホテルシティプラザ大阪で開催されました。

 

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定番から新製品まで取り揃えられた商談会で

一部繊維製品なども並びました。

 

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好評の順造選からは女性の人気のザクロとクランベリーの

ミックスジュースやデザインが素敵なジャムなどが新発売。

クランベリーは特に順調で新CMも発表されています。

 

 

ちょっと変わった新製品としては冷凍クリームパン。

ロバのパンで有名な清水屋さんの製品です。

高級感がありますね。

 

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子どものおやつから手土産に格上げされた<絶品パン>です。

 

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ナガノトマトさんからは特別栽培のケチャップや

チューブに入ったなめたけなどユニークな製品が出品されていました。

 

モンドセレクションや官公庁のお土産で有名な

平松食品さんからの出品は

高級佃煮ギフトや、新製品の愛知丸ごはんギフト。

 

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見ているだけでおなかが減りそうです。

 

 

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おいしそうですが食べられないクッションや

おいしくなさそうですがかわいい木馬のおもちゃなどもありました。

 

 

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『レヴィ=ストロース―構造』渡辺公三 著 1996年刊 講談社 <現代思想の冒険者たち 第20巻>

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『レヴィ=ストロース―構造』
渡辺公三 著
1996年刊 講談社 <現代思想の冒険者たち 第20巻>

 

この本ではまずこの写真

argobook28_2 わっ、かわいい。お宝写真。

でもこの子が

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となって

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argobook28_4 うそ。しょぼくれた…

と思ったら こんな落書きをしていてyajirushi_kururi_up  argobook28_7
でもこれがボードレールの「猫」という詩に関するのかもしれないもので、
それはヤコブソンといっしょにやった構造分析のはじまりで
そこには音韻、語彙、文法云々の何とかがあるというのは
フランス語を知らないとまったくわからない…

そしてやがてこの気難しそうなじいさんの顔になっていく
argobook28_6というか、枯れていく感じ。

確かに顔の「構造」は同じはずなんだが…
という、ややマニアックな写真が並んでいるあたりからもわかるように、
けっこう詳しい解説書です。

 

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古刹の時間 ~湖東三山 西明寺~

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最近高速道路のICができて訪れやすくなった湖東三山。

比叡山・天台宗の寺院として中世には大きな権力を持っていましたが、時代の節目に登場した魔王織田信長に散々な目に会わされて没落します。

 

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西明寺19 西明寺14 西明寺12

 

ここ西明寺も焼き討ちされるのですが、現在国宝に指定されている本堂と三重塔は何とか残りました。

 

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西明寺13 西明寺17 西明寺25

 

確かに山の上の木造建築にいる敵には、下から火を放てば極めて有効だったのでしょう。

下からやってくる炎とその背後の弓や鉄砲、相手の陣容さえ把握できなくて、上に逃げても炎は自動追尾してくる。

 

夕方に一人でこの場所に立っていると、その時の叫び声が聞こえてきそうです。

 

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西明寺20 西明寺22 西明寺26

 

でも貴重な文化財をそんなに簡単に焼いてしまっていいのか?

<オレは古臭い木の人形など欲しくない。薄暗いボロ小屋もいらない>

<支配権さえ手に入れればいくらでも新しく作れる>

<オレ様は未来志向なんだ!だから古いものは全部焼け!!>

<焼かなければお前ごと焼くぞ!!!>

くらいの合理的で強引で近代的な論理だったのでしょう。

時代が変わるとはそういうことなのでしょう。

 

西明寺3

西明寺4 西明寺5 西明寺10

 

境内には樹齢1000年の杉をはじめとする古木も多く、四季折々の花も豊かです。

信長の焼き討ちの後に育った木々でさえ既に樹齢400年。

人々の時代が何度変わっても、その背景で自然は静かに時を重ねます。

権力の牙を失って久しい寺院は、山の奥でひっそりと古刹の時間を刻みます。

 

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今は春ですが一部に紅葉も見られました。

透き通るような赤色でした。

季節が暮れていく頃には、この紅葉が境内に広がり、絶景に変わっているでしょう。

 

 

 

奇蹟の美酒 ~多賀大社~

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世界遺産にもなれず、サミットの誘致もできなくて、今では伊勢、熊野との知名度の差がかなり開いているようにも思える多賀大社であるが、昔はそれらと並ぶ参詣の名所であった。

 

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多賀大社66 多賀大社75 多賀大社17

 

俗世と神域をつなぐ石の太鼓橋(太閤橋)は太閤秀吉の寄進によって整備されたもののひとつであり、

 

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多賀大社19 多賀大社23 多賀大社25

 

立派な本殿は災害にあうたびに幕府に再建してもらっている。

さらに神事用の大釜も新調している。

 

多賀大社29

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多賀大社の国家レベルの霊験あらたかさは8世紀の養老年間に遡る。

時の天皇の病が多賀の神官の献上した飯で全快したのである。

 

多賀大社22

多賀大社76 多賀大社43 多賀大社67

 

それ以来、しゃもじは多賀大社の重要なアイコンになっている。

お祀りしているのは日本の国と八百万の神々を生んだ伊邪那岐と伊邪那美である。

 

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米粉で作ったもっちりとした感じと素朴な甘さにこしあんが絶妙な名物「糸切餅」の起源も、元寇に遡るらしい。

 

多賀大社24

 

相対的に知名度は低くなってはいるものの、参詣者は絶えないし、ご祈祷も行列ができるほどひっきりなしに行われている。

 

多賀大社52 多賀大社60 多賀大社58

 

現代の著名人たち自筆の絵馬もたくさん並んでいる。

 

多賀大社64

 

ここは京都や奈良と違い、外国人観光客が大挙して訪れることのない、日本人だけの聖地であるとも言える。

静かな神域にとって大切なのは写真を撮って帰るだけの外国人観光客ではなく、深い信仰心の証や生々しい現世利益の願いのために出費を惜しまない人々である。

 

多賀大社62

 

1984年に奉納されたらしいサントリーのウィスキーの価値は、30年以上を経た今では数千万円に跳ね上がっているのだろう。

これこそが現世利益数百倍の多賀大社の奇蹟だろうか…

 

多賀大社6

 

帰りには、ここでしか出会えないレアなキャラクター飛び出し巫女のたがゆいちゃんに交通安全祈願をしておこう。

 

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『贈与の研究』 比較法学会 編 1958年刊 有斐閣

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贈与の研究

 

贈与の研究
比較法学会 編
1958年刊 有斐閣

 

日本、英米、ドイツ、フランス、ソ連、中国の 贈与法の比較をした本である
21世紀の今になって、1958年当時の比較に どれほどの意味があるかというのは疑問ではある (もう「ソ連」なんて国も存在しないのに…)

日本法学会の大家が 昭和の中頃に
「贈与」というものを どう考え、どう感じていたか
そのところを少しお伺いしたい…
何故なら、「法」というものが当時の国民意識の大きな流れであり
その反映だからである。
(もちろん固定化された「法」と流動的な国民意識の間には常にズレはあるとしても)

というわけで 来栖三郎大先生が担当された「日本法」の部分から引用

「欧米大陸諸国の贈与法の基礎を為している贈与感は贈与を好意とみている。
これに対して日本の贈与法の基礎を為している贈与感は 贈与を義務義理乃至恩より生ずる義務とみたが故に、 贈与はしようとしまいと自由だ、
それをしてくれたから贈与を受けた者は贈与者に感謝すべきだということにならない
むしろ、義理からにせよ恩からにせよ、 贈与者側で贈与しなければならない義務が
あると意識しているからこそ贈与するのである。
贈与するしないはどうでもいいのではない。
だから贈与は無償だとて軽視すべきではないのである。
その贈与感の下では、未だ有償契約と無償契約の社会的作用の差異に充分考慮が払われない。」
法律は贈与を義務だと見ていた、というのは
現在の感覚からすると驚きであるが
人類学的には
モースが述べた<全体的社会的現象>である贈与の姿そのものである

「それは、宗教的な制度であり、法的な制度であり、倫理的な制度である―
この場合、それは同時に政治的な制度でもあり、家族関係にかかわる制度でもある。
それはまた、経済的な制度である」(『贈与論』序論)

南の島の裸で槍を持って踊っている奴らの掟と
我が日本国の由緒正しい民法が同じだなんて!

そう、南の島の掟にも
何百年か何千年か何万年かをかけた
由緒正しさがある
ということで
大事なのは
そこにみられる普遍性と
それを解釈する人々のあり方。

「どんな時代にあっても活動しているのは、
そしてどんな場所にあっても活動してきたのは、
人だからである。社会だからである。
精神的存在としての、
生身の存在としての人間の感情だからである」
(M.モース『贈与論』)

 

 

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『贈与の哲学』-ジャン=リュック・マリオンの思想-岩野卓司 著 2014年刊 明治大学出版会

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贈与の哲学
-ジャン=リュック・マリオンの思想-
岩野卓司 著 2014年刊 明治大学出版会

フランスの思想家J.-L.マリオンの思想を紹介する講義録

キリスト教系で現象学なので
神がカッコにくくられたり、神に×がついたりします。
さらに神は存在さえしなくなります(キリスト教なのに!)
それでもその先で
もちろん愛で
無限の与えとして………
みたいなことになります。

 

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