『ビーズ』池谷和信 編 2017年刊 国立民族学博物館

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ビーズ17

 

『ビーズ』
池谷和信 編
2017年刊 国立民族学博物館

 
国立民族学博物館の企画展『ビーズ ~つなぐ かざる みせる~』の図録。
10万年前の貝殻のビーズからはじまり、様々な美しい素材が
世界中を流通して人々を魅了してきた人類史。
 
ある程度大きなまとまりのある集団が
同じく大きなまとまりのある集団と交易をして
財が世界に拡散する。
そしてその財が富や地位を象徴するようになり、
交易がさらに活発になり
より遠隔地に及ぶようになる。
世界はビーズによってつながっていく。
 
貝の道、石の道、琥珀の道、ガラスの道・・・
 
さらにその財が地域に飽和してくると
交換の基準としての貨幣に転じていったかもしれないのだが
この企画ではその点についてはあまり語られていない。
 
ビーズ11
 
それにしてもビーズのコルセットを巻いた
アフリカの若者は抜群にセンスが良くて
惚れ惚れするほどクールである。
肉体の感覚と美の感覚を研ぎ澄ますことに
存在のすべてを投じているかのようにさえ見える。
高貴で美しい。
もしそれが命を懸けるほどの鋭さであるなら
それは部族間の争いを引き起こす原因に
なってきたのかもしれないと思うほどである。
 
ビーズ12

 

人はお金に代えられないもののために命を懸ける。

命を削るような生き方は高貴ではあるがはかない。

何でもお金で解決できると考えるほど堕落した人は

凡庸に長生きをする。

何でもお金で解決できると考える人びとの国は

凡庸ではあるが平和で豊かになる。

人類は様々な相互意識の強烈な軋轢を

貨幣に変換することで回避し、平和を築いてきたと言えるだろうか。

問題を水に流すのではなくカネという大きな流れに流すことを

社会的に発明したと言えるのだろうか。

 


 

 

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