野口悠紀雄が『1940年体制』の旧版の序文で
「巨大な軍艦が陸にのり上げたようにうずくまる無骨で陰気な建物」
と書いた財務省本館(旧大蔵省本庁舎)。
実用重視で不愛想な建物が多い霞が関の官庁街の中でも、
この建物の印象は特に陰気な印象である。
この建物は戦時中に建設され昭和18年に完成している。
本来なら文化財にもなりそうな古さであるが、
太平洋戦争の戦況がどんどん悪くなっていく頃の、
物資も人出も足りない中での建設なので、
それらしい装飾などは皆無である。
現在は建物の表面にタイルが貼られているが、
以前はまさに人を威圧する巨大なコンクリートの塊であったようだ。
さらに屋上は本土決戦に備えた焼夷弾除けも施されていたということだ。
ちなみに隣の文科省や向かいの法務省は文化財指定されていて
公開されている部分もある。
しかし財務省はどこからみても監獄のように閉鎖的な印象で、
堅苦しい霞が関の中心にあるウルトラ保守という感じである。
(必ずしもそれが悪いということではない。
それは日本国の鉄壁の守りを意味するからである。)
もちろん霞が関もその中心から少し離れれば開放的になってくる。
こちらは日本最初の超高層ビ霞が関ビルディング1Fの
霞ダイニング正面。
周辺がこのように再開発されると、
中心の保守性はますます際立つようになっている。
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