よく似た花で、その区別の仕方が植物解説の定番となっているアヤメとハナショウブとカキツバタ。
違う花といっても同じアヤメ科アヤメ属なので、まとめて「アヤメ」もしくは「アイリス」としておけば多分学術的に正しい。
それでもその区別にこだわりを求められるのは、「いずれ菖蒲(あやめ)か杜若(かきつばた)」という、今では誰も使わないややこしい故事成句があるためである。
このそのややこしい言葉を中世以来何百年もの間、人々が日常的に使っていたかという疑問もあるが、園芸が極めて盛んだった江戸の町ではそれなりに意識されていたのかもしれない。
もしずっと語られ続けているのだとしたら、いいかげん決着してもよさそうなものだが、いまだにややこしいままなのは、実はアヤメとカキツバタの区別などほとんどの人にとってはどうでもいいことだからなのだろう。
だとすれば「いずれ菖蒲か杜若」は、<どうでもいいことに延々とこだわり続ける様>というふうに、意味が転じていくかもしれない。
こちらは遠くから見るとちょっとアヤメっぽいけれど、よく見るとあまり似ていないラン科の「シラン」
アヤメとカキツバタの区別よりも、アヤメとランを区別を先にしたほうがいい。
こちらはアヤメにはまるで似ていないけれど、独特な花の色がとても魅力的なアヤメ科の「イキシア ビリディフローラ」
こちらはアヤメのように仰々しくもややこしくもない可憐なアヤメ「シャガ」
そしてこちらはアヤメでもランでもないマメ科の「フジ」
ますますややこしくなってきた。。。
“アヤメの混乱 ~水生植物公園 みずの森 立夏1~” への1件のフィードバック