主に明治期から戦前・戦中にかけての日本のポスターを集め、
製品分野別に編集したものである。
近代以前にも日本には画像を使った掲示物は存在した。
「絵びら」と呼ばれるものである。
明治に入りそれが次第に洋風の「ポスター」に代わり、
印刷技術は木版から石版そして金属版になっていく。
技術の進展は印刷物の大量生産と呼応するものだった。
そしてそれは都市の市民生活の劇的な変化とも
歩調を合わせる。
化粧品、医薬品、酒類、衣料品、菓子といった
近代生活の変化と豊かさや憧れが
そこには表現されている。
表現手法は玉石混交といった感じである。
それが洗練度を増し、
よりモダンなアールデコや未来派のような
直線的で色数の少ないものに変化していく頃には、
ポスターにも次第に戦時色が現れてくる。
多品種の豊かなバラエティが
統一的な超大量生産へと歩みを進める。
それを眺めていると近代化の進展は
戦争の必然を孕んでいたのではないかと
思えてくる。
“『日本のポスター 明治・大正・昭和』三好一著 2003年 紫紅社” への1件のフィードバック