奈良県明日香村の石舞台古墳。
遺跡と森に埋め尽くされている奈良の中でも、明日香村は特別な場所です。
ここは日本で唯一自治体全域が国の法律(明日香村特別措置法)によって厳しく開発規制されているところだからです。
確かに多くの史跡が集中している場所ではありますが、生態系の保全というわけでもありませんから、地域開発のすべてを規制する必要があるのかどうかにはやや疑問もあります。
しかし、一度決まった国の法律を人口6000人程度の自治体が変えるのも、また難しいのかもしれません。
逆に地域全体が保護されることで、明日香村には意図せざる社会と自然の生態系ができているようにも見えます。
ほとんど新しいことが起きないまま、錆びた信号機のように季節が循環していく、のんびりしたスモールワールド、明日香村。
石舞台ができた頃には、2300トンもの石を運んで、巨石を加工して積み上げ、古墳にするという最先端の土木技術を誇った地域が、今では、日本の文化財保護の在り方とともに、村全体がゆっくりと遺跡化していっているようにも思えます。
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