建仁寺さんの本坊を入ると、最初に目に入るのが
有名な風神雷神図を陶板にしたものです。
その風神雷神の前には
夏には季節限定で豚の蚊やりが置かれています。
この豚の蚊やりですが
目も鼻(口)も胴も
中に入っている線香まで
すべてが丸だけで構成されたミニマムデザインで、
その特徴的な姿は近代産業デザインの
傑作のひとつと言えるものかもしれません。
そしてそのシンプルさは隣の「○△□の庭」の
切り詰めた世界と呼応します。
そのミニマムがずっと枯山水の庭に広がって
ミニマムの立体的表現である茶室に至ります。
そして豚のうしろの風神からは、屏風やふすま絵や180畳の天井に至る
豪快で複雑でユーモラスな絵の世界が広がります。
こちらに繰り広げられるのは茶室の静謐とは正反対の
どこまで騒々しい極大の世界です。
二つの異なった世界観が対立するデザインとなって
数百年の間 延々と対話し続けてきたというのが
建仁寺の禅問答なのかもしれません。