世界遺産姫路城には数えきれないくらい多くの見どころがある。
この城は戦のためというより
戦国の世に発展蓄積された築城技術の総決算として、
とにかくそれを見せびらかすためにつくられたとしか思えないほど
見どころだらけである。
そしてその総決算の見どころの総体はとても美しい。
特に夕闇に浮かび上がる白い威容は息をのむほどである。
もちろん築城当時の人々にライトアップの技術はなかったのだが、
現代よりもはるかに暗い夜を生きていた人々の眼は
月明りの下でさえこの巨大な白さを完全にとらえていたかもしれない。
姫路城は巡らされた堀の姿でも有名であるが、
その広い堀に鮮やかに映る夜の城にも格別の美しさがある。
これもまた、水に映る姿を計算して堀を作ったのではないかと
疑いたくなるほどである。
堀に映るライトアップされた石垣は
あまりに見事で、芸術的と言いたくなる。
水上の石垣に眠る水鳥は異世界からの使いのように見えて
幻想的でさえある。
というようなことを考えていたら
突然暗闇から真っ黒な猫が現れて
びっくりした。
現実に戻ると
寒くておなかが減っていた。
しょうが醤油で食べる姫路おでんと
姫路の地酒の龍力をいただきたくなった。
月と城の美しい夜であった。
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