びわ湖の南端から瀬田川上流にはいくつもの橋が架かっている。
主なものだけでも7本。近江大橋、JR東海道線(2本)、国道1号、
瀬田唐橋、東海道新幹線、名神高速道路、京滋バイパスである。
そのJR線の北側に、道路でも線路でもない
ちょっと変わった橋がある。
きれいなアーチを描くこの橋は、瀬田川を渡った両端で途切れている。
ただ川の上を渡すことだけを目的に架けられたオブジェにしか見えない。
この橋が何なのかというと、
瀬田川共同橋という愛想のない名前の水道橋である。
水道とガスと通信のためのものである。
無用の長物にしか見えないけれど
周辺住民にとっては鉄の命綱ということになる。
京都アニメーションが背景に取り上げたことがあって
少し有名になったらしい。
といっても巡礼の人たちが押し寄せるというような場所でもなく
そのような事情とは全く無関係に
瀬田川共同橋は
釣り竿の描くアーチやボートが切り開く波紋と調和しながら
生活の背景としての重要な役割を
淡々とこなしている。