糸賀一雄さんが、それほど長かったとはいえない人生の晩年に
福祉に関する考えを整理して記された本。
クライマックスは第7章の発達保障という考えである。
そこにはこう書かれている
「三歳の精神発達でとまっているように見えるひとも、
その三歳という発達段階の中身が無限に豊かに
充実していく行きかたがあると思う。
生涯かかっても、その三歳を充実させていく値打ちが
じゅうぶんあると思う。」
当たり前のことである
そしてそのあたりまえを貫くのが
筋金入りのヒューマニズムである。
「重症の心身障害という限界状態におかれている
この子らの努力をみて、かつて私たちの功利主義的な考え方が
反省させられたように、心身障害をもつすべてのひとたちの
生産的生活がそこにあるというそのことによって、
社会が開眼され、思想の変革までが
生産されようとしているということである。」
<世の光>はここに開かれた目に宿るものなのだろう。
『この子らを世の光に』からはじまり
『重い障害を生きるということ』(高谷清・著)に受け継がれる
思想の充実がここにある。