世界遺産にもなれず、サミットの誘致もできなくて、今では伊勢、熊野との知名度の差がかなり開いているようにも思える多賀大社であるが、昔はそれらと並ぶ参詣の名所であった。
俗世と神域をつなぐ石の太鼓橋(太閤橋)は太閤秀吉の寄進によって整備されたもののひとつであり、
立派な本殿は災害にあうたびに幕府に再建してもらっている。
さらに神事用の大釜も新調している。
多賀大社の国家レベルの霊験あらたかさは8世紀の養老年間に遡る。
時の天皇の病が多賀の神官の献上した飯で全快したのである。
それ以来、しゃもじは多賀大社の重要なアイコンになっている。
お祀りしているのは日本の国と八百万の神々を生んだ伊邪那岐と伊邪那美である。
米粉で作ったもっちりとした感じと素朴な甘さにこしあんが絶妙な名物「糸切餅」の起源も、元寇に遡るらしい。
相対的に知名度は低くなってはいるものの、参詣者は絶えないし、ご祈祷も行列ができるほどひっきりなしに行われている。
現代の著名人たち自筆の絵馬もたくさん並んでいる。
ここは京都や奈良と違い、外国人観光客が大挙して訪れることのない、日本人だけの聖地であるとも言える。
静かな神域にとって大切なのは写真を撮って帰るだけの外国人観光客ではなく、深い信仰心の証や生々しい現世利益の願いのために出費を惜しまない人々である。
1984年に奉納されたらしいサントリーのウィスキーの価値は、30年以上を経た今では数千万円に跳ね上がっているのだろう。
これこそが現世利益数百倍の多賀大社の奇蹟だろうか…
帰りには、ここでしか出会えないレアなキャラクター飛び出し巫女のたがゆいちゃんに交通安全祈願をしておこう。
“奇蹟の美酒 ~多賀大社~” への1件のフィードバック