鏡の国の金融セクター

 

6月2日付の日経新聞に世界130か国の企業収益についての記事があった。

 

 

低金利の影響で先進国の銀行の業績は悪く、日本では地銀の株価は解散価値の3割程度と言われているにもかかわらず、グローバルに見渡すと金融セクターの力は圧倒的に強い。
各国でトップ企業を集計すると、その45%が金融であるということだ。
途上国と先進国では見えている世界が鏡の国ほど違う!
資金需要が少なくて低金利になっている先進国から、資金需要の旺盛な途上地域にどんどんじゃぶじゃぶお金が流れているということのようである。
スペインでは中南米に強い銀行が9400億円の純利益を出している。
そしてこの途上国で金融の飛躍と表裏一体なのが通信やITのコモディティ化である。
極端に安くなったIT技術を使って世界のベース・オブ・ピラミッド40億人をカエル飛びさせるというストーリーがそこにある。
そしてコモディティ化の中心にあるのが中国であり、低価格高品質の通信を担ったのが現在米中摩擦の中心になっているファーウェイである。

大きな見取り図としては、世界に中国という10億人工場が出現し(新大陸の発見!)それを中心に世界の産業構造が再編され、その再編に突然楔を打ち込んでアメリカがブレーキをかけようとしているが、その資金源は低金利のドルだ!という構造問題。

いつか見た革命

 

次は大阪でG20。

注目の世界会議で、日本の首相はかなりはしゃいで、多分ちょっとすべります。

ちょっとくらいならいいのですが、大きく滑ってずっこけることにならないことを祈ります。

 

 

さて、そんなG20を含む現在の世界の枠組みは、かの冷戦終結から始まっています。
ベルリンの壁が崩壊して、時代の振り子はグローバリズムの方へ大きく振れて振れて振り切れました。
世界中のいたるところで「革命」の火の手が上がり、炎上、類焼、伝染、熱病と長く長く連鎖し、その都度多くの人たちが泣いたり叫んだり、殴ったり殴られたり、牢屋に入れられたり、亡命したり、難民になったり、撃たれたり死にかけたり、本当に死んだりしました。
(その間、日本はずっと「失われ」続けていました)
それからだいたい30年くらいたった今、その振り子は2~3割元に戻っているようです。
色の革命からは彩が抜け落ち、花の革命もすっかり萎れています。イギリスのEU離脱、米中の対立は言うに及ばず、国家は内向きで、国民は分断されることで安心を得ようとしているように見えます。国境をまたぐデジタルに対する制裁金や課税にもその傾向が表れているように感じられます。
「グローバリズムの推進」という言葉は、もうすっかり中身の燃え尽きた空虚なものに聞こえるようになりましたが、それはグローバリズムというものが社会や生活の一部になってしまったからなのでしょう。
グローバリズムが未来の<夢>でなくなったので、人々は過去のノスタルジーに熱狂するようになっているということなのかもしれません。
本来はここからが地に足の着いたステップを踏めるはずのところなのですが、夢見るように仕組まれた生き物は、夢に溺死することを夢見続けます。

時代の振り子はいつも行き過ぎた流行り廃りで、その都度多くの人たちが泣いたり叫んだり、殴ったり殴られたり・・・・それは何千年かの人類史で最も馴染み深いデジャブのひとつ、<いつか見た革命>です。