奇巌の居心地 ~最高裁判所~

edokko9

 

 

1974年竣工の最高裁判所。「奇巌城」などとも揶揄される

極めて特異な外観の建物である。

 

 

極端に窓が少ないためか

厳かで脱出不可能な牢獄という感じもする。

とにかく石の塊としての存在感に圧倒される。

 

 

ところが設計者の岡田新一の論文を読むと、

この設計は閉鎖性ではなく流動性を求めたものらしい。

「この空間は向かい合う2方向は壁によって外界から隔てられるが、

それと直角の2方向は開口―窓ではなく―によって

外部空間に連続する。」

 

 

さらにそれは

「日本建築における内外空間の流動的関係に類似する」

ということである。

 

 

確かに正面から見て左手の正面入口の先は、

巨大な2枚の壁で区切られた空間であり、

そこにあるホールは巨大な吹き抜け空間であり、

さらに奥の大法廷にも巨大な天窓があるということなので、

空間の設計としては開かれているのである!

 

 

何があっても壊されない最高の法の支配力の象徴

にしか見えないこの建物は「胎内的な安堵」のある

「古く忘れられた感覚を呼び醒す」ことを

発想の原点にもっているというのである。

 

 

このどこから見ても重苦しい石の塊は、もしかしたら

中の人にとっては、意外と居心地のいいものなのかもしれない。

カッパドキアの洞窟住居のように・・・

・・・それこそまさに<奇巌城>であるが・・・

 

 

 

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