『大正デモグラフィ』速水融・小嶋美代子著 2004年 文春新書

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大正時代の貴重な人口統計から、当時の社会状況を考える本である。

 

大正は、明治と昭和というふたつの長く激動した元号に挟まれた、

あまり目立たない時代である。

しかし文明開花の日本が真に都市化と近代化に

塗り替えられたのがこの短い時代のことである。

そして大正元年は1912年、既に20世紀に入っていた。

 

この時期、日本は農業を基盤とした社会から

工業を基盤とした社会に転換している。

全国に鉄道網が完備され都市の人口は急激に増えた。

人々は新聞や雑誌を読み都市の一個人となる。

夜が明るくなり伝統的な家族像がかすれてゆく。

 

国家が都市の個人と核家族を中心に

再編されてゆく時代である。

もちろんそれがすべてになったわけではないが

その基盤は出来上がっていた。

 

今考えるとこの時から昭和の総動員戦争への歯車が

逆戻りできない形で確実に回されていったように思える。

 

 

2018年 総合カタログ 特集企画

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2018のギフトカタログ総合版が完成。

 

 

今年のカタログには巻頭に障がい者施設で作られた製品が

特集されています。

 

 

国会での砂長びんさんのインタビューも掲載されています。

 

 

滋賀のお雑煮

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滋賀のお雑煮は京風です。

白みそ・焼かない丸餅・根菜類の組合せ。

根菜は金時人参・雑煮大根・海老芋の輪切りです。

 

 

全国のいろいろな雑煮の中では

かなりシンプルな部類に入りそうです。

 

滋賀は京都だけではなく福井や岐阜、

三重とも境を接しているので

多少のよりローカルな

差異はあるかもしれません。

 

 

神事の深層 ~伊砂砂神社 2018新年~

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旧中山道沿い草津にある伊砂々神社の初詣。

 

 

本殿は室町時代に建てられたもので

間口1尺の小ぢんまりしたものですが

国の重要文化財に指定されています。

 

 

小さな集落の小さな聖域として永く祀られ

浄められてきた場所という感じです。

 

 

人が集まってずっと暮らすところには、

こういう浄めの隙間が必要なのかもしれません。

 

日常生活で巻き起こる人々の間のあれやこれやを

<ノーサイド>にして洗い流す場所。

だから常に清く保たれなければならない場所。

 

日本中の集落でずっと続けられてきた

数々の神事の深層には人々の対立や争いを

清算する役目もあったのかもしれません。

特に同じ集落の中での

富の偏在や格差に関する対立感情は

嫉妬を生み、すぐに怨念に転じてしまうような

危険なものですから

神聖な「払い」によって

祓ってしまわなければならなかった。

 

浄めの場所や機会を持たない人々の集団は、

争いの果てに四分五裂して消えてしまい、

浄化の装置を持った人たちだけが残った。

 

そしてそれが今は「宗教」と呼ばれるもののひとつに

数えられるようになっているのかもしれません。