日本銀行本店の建物には、有名な本館と実務を行う新館の他に
旧館を増築した2号館3号館(昭和13年)と、
本館の向かいの分館(昭和59年)があります。
旧館と新館には、大きな時代の隔たりを感じますが、
増築部分の2号館、3号館は本館との連続性が意識されています。
本館の方があまりに有名なため、それほど注目されませんが
東側の増築部分も昭和初期の傑作建築の一つです。
この増築部分に限らず、戦前の昭和には建築技術が発展し
強固で大規模な鉄骨鉄筋コンクリートの建物が次々と建てられています。
野村證券本社(昭和5年)、明治生命館(昭和6年)、
国会議事堂(昭和11年)、第一生命館(昭和13年)などです。
日銀の隣に並ぶ三井本館も昭和4年(1929年)竣工。
ただ鉄筋コンクリートで建てられた古典やバロックやルネッサンスは、
本場の人たちから言わせるとニセモノ、
大阪風に言えば<パチもん>ということになるのかもしれません。
そんな問題意識や国際政治状況、モダニズムそのもの進展から、
昭和8年に建てられた東京中央郵便局(逓信省営繕課)は、
装飾を排した極めてストイックなデザインになっています。
そして逆に仰々しいほどに<和風>を取り入れた帝冠様式も現れます。
(旧琵琶湖ホテル 昭和9年)
こういう建物を並べて見るだけでも
昭和の初めが、変化、激動、せめぎ合い、混乱・・・
そんな言葉が次々と思い浮かぶ時代だったことがわかります。
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