京都観光の玄関口、京都駅ビルはその特異なデザインで有名である。
中央コンコースは高さ50m、幅147mの吹き抜け空間で、
その先は大階段やエスカレーターで屋外に続く。
1997年竣工。設計は原広司。
同じ原の手による93年竣工の梅田スカイビルとよく似た
というかスカイビルの兄弟のような、
というかほとんどスカイビルを横に寝かせたようなデザインである。
金属とガラスでできたクリスタルパレスに、
赤・青・黄のポップなオブジェを配したり、
形を歪ませることで表情を出すデザインである。
目の前の京都タワーと、駅ビルの吹き抜け大空間の組合せは、
五重塔と寺院の大伽藍の組合せと同じである。
駅前広場からまっすぐのびる烏丸通は寺院の参道のイメージと重なる。
京都駅ビルは超モダンで斬新なデザインであるにもかかわらず、
デザインの志向そのものは昔からのものと共通している。
だからなのか、斬新さに多くの批判を浴びながらも、
古都の玄関としての確実に定着しているようだ。
もちろん古都らしく、さらに原デザインこだわりの空中庭園らしく
屋上には庭が造られているが、
全体の規模が大きいのでほんの申し訳程度にしか感じられない。
それよりも庭園のさらに先、駅ビルの一番西の端にある
このヘリポートに象徴的な意味が感じられる。
吹き抜けの大空間→屋外につながる大階段
→空中庭園→空に飛び立つヘリポート
という内から外へのつながりである。
そしてさらにその向こうに見えるホテルの展望室は、
梅田スカイビルから飛び立ったとされる宇宙船のようだ。
と思ってみると
京都タワーもまた
宇宙船の発射台のように見えてくる。
“塔と伽藍 ~京都駅ビル~” への1件のフィードバック