大津市にある近江神宮は、昭和になって建てられた最新式?の神社です。
橿原神宮、明治神宮、平安神宮と同じ国家プロジェクトの近代神宮の末っ子です。
お祀りしているのは天智天皇。この地域に大津宮を遷都されたことに因んでいます。
天智天皇は、日本に水時計を導入されたことで有名なので、近江神宮では時の神様になっています。そして近代の神社らしく産業の守護神でもあります。
ロレックスの奉納した古代の火時計や由緒の始りである水時計、日時計やセイコーの奉納した市販品のようでちょっと安っぽく見えるからくり時計、時計館宝物館や時計眼鏡宝飾の専門学校まであります。
今考えると不思議な感じがしますが、戦前の日本では国家と宗教と近代産業と市民生活が混然一体であったということです。
もちろん、「政教分離」や「信教の自由」は建前上存在しているので、公的な神道と私的な仏教という二重化が、明治の神仏分離令以降ずっと進展してたのです。
おそらくこれが日本的な何でもありの宗教文化ミックスの背景にあるのでしょう。
さらに百人一首の最初の歌が天智天皇のものであることから、かるたの神様にもなっています。ちょっとこじつけっぽいですが、それも国家戦略?
ところが最近になってアニメにも実写映画にもなった競技かるたコミック「ちはやふる」によって近江神宮が<聖地>としてブレイク。
婚礼や七五三に対応していた近江神宮衣装部が、「ちはやふるコスプレ部」に衣替えしてしまいそうな勢いです。
昭和の時代に御鎮座されたかるたの神様は、平成の終わり21世紀の17歳の頃に、突然降臨した女子高生の女神様にちょっと席をお譲りになっているようです。
さて、そんなちょっと変わった由来と現状の近江神宮ですが、晴れた日には参道の木漏れ日がとても気持ちのいい場所です。
神社としては新しく木々がまだ若いためでしょうか、光の抜けてくる感じが美しくすっきり感じます。
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