梅田スカイビルで行われていた
「障害者の社会参加を支援する企業展示会」の後片付けを終えて
地上40階の会場から見下ろすと
そこに模型のような庭が見えました。
同じ地上の173m先にあるものをで見ても
単に小さくは見えるだけですが
高さ173mから俯瞰すると
同じものがおもちゃのように見えます。
きれいに整備されているとなおさら模型っぽく感じられます。
逆に地上に降りて173m上を見上げても
おもちゃには見えなくて
同じ地上のものを見るより
はるかに手の届かない感じがします。
見下ろすときは自分が天上にいる支配者になり
見上げるときは逆に
自分が意味も自由も失った
ちっぽけな存在になるような感じもします。
見ている視点の位置が変わるだけで
見る者と見られる者の意味までひっくり返る。
見ることの不思議です。
おもちゃのように見下ろされている人と
はるかな高みに見上げられている人は
たった173mの隣人なんですけどね。
さて、里山の風景を模して造られたという地上の庭では
鳥や小川や案山子や小路
花々や枯枝や収穫を終えた田畑などが見られました。
見上げれば空中庭園があり
地上には新・里山があり
そしてその隣には
巨大な緑の壁!があります。
「希望の壁」と名付けられたこの壁は
安藤忠雄さんの設計によるもので
「環境文化都市・大阪」のシンボルを
目指して作られたものらしいのですが、
超高層ビル用の生垣という感じです。
豊かな緑を感じさせてくれる場所というより
ビルよりもその生垣よりもさらにちっぽけな自分を
思い知らされる場所
という感じがします。
威圧が癒しを上回っているのでしょう。
こんな風に作られたものに「自然」を感じられるなら
高層ビルの鉄やガラスやコンクリートにも
太古の生物の遺骸や地球創成の地殻運動といった
偉大な「自然」を感じられるかもしれません。
こうやって見上げると
不自然な自然同士がにらみ合って
<ゴジラ対メカゴジラ>という感じです。
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