花嫁が結婚式で着る「白無垢」。
婚家の色に染まるとかあなた色に染まるとか、
「白」に関する現代的な解釈はありますが、かつてその「白」は「死」を意味するものでした。
そして「お色直し」はそこからの「再生」を意味しました。
昔行われていた幻想的な夕闇の花嫁行列も、
この世ならぬ世界を花嫁が通過する儀式であったと考えられます。
花嫁が綿帽子を被るのも、その存在がこの世ならぬものであることを示すものでしょう。
白無垢の中にあるのは「きれいな花嫁さん」ではなく、
ちょっと怖い霊的な存在(だから「角隠し」も必要)でした。
花嫁はこの世の美醜とはレベルの違う存在で、
そこには一種の神々しさが宿っていたはずです。
ガス灯や白熱電球、蛍光灯やLEDと人灯す光が明るくなっていくごとに、
世界の半分を占めていた人の世ではない部分は狭くなってきました。
そして結婚式は光と陰を往来する厳粛な通過儀礼から、
ひたすら明るいお祝いパーティーへと変化してきました。
演出技術が発展して結婚式には様々な趣向が
凝らされるようになりましたが、
エステでは霊的な存在が作れないのが残念なところです。
“白無垢の秘密” への1件のフィードバック