ゴッドファーザーの消滅

パンセバナー2

 

かつての日本にはたくさんのゴッドファーザーがいました。

ゴッドファーザーといってもマフィアのボスのことではありません。

名付け親のことです。

 

ゴッドといっても日本の場合、その神様は祖先の霊を意味します。

ひとつの祖先から分かれたひとかたまりの一族。

同じ祖霊を祀る人たちはひとつの大きな家族でした。

その大きな家族に生まれた新しい命は、

大きな家族の長老などによって名付けられ、

その庇護下で育ちました。命の誕生は生物学的な繁殖でも、

DNA的なコピーでもなく霊的な結び付きによる循環でした。

生まれては消え、消えてはまた生まれる。明滅し循環する命と時間。

人は星や自然や季節とともに生まれ変わっていました。

命は与えられ、そして突然奪われ、また還ってくる。慈悲と無慈悲、

やさしさと厳しさが鋭く隣り合わせにあった時代のことです。

 

現在では、人々の生活圏が広がり、親族との繋がりは希薄になりました。

その元締めである祖霊も帰るべき神棚を失って行方不明です。

ゴッドファーザーの「ゴッド」が消えてしまって、

小さくなったファミリーにはやさしいお父さんだけが残りました。

 

 

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