日野町にある近江鉄道の朝日野駅。
八日市と貴生川を結ぶ水口蒲生野線というローカル路線の中の
1日の乗降客が数十人というさらにローカルな駅。
夏草のジャングルに覆われて、
もうすぐその存在が忘れられてしまうのではないか、
と少々心配になるような駅である。
静かである。
無人である。
「駅舎」というか、ただスレートの仕切りがあるだけで、
列車を降りると目の前は砂利道である。
もちろん駅前のビジネスホテルやコンビニもなく、
自動販売機さえない。
それでも、駅名がありホームがあり、
夜には明かりも灯り、定期的に列車が停車し、
全員が顔見知りの毎日の乗降客がある。
「駅」というものが成立するミニマムな条件は、
それで整うのである。