江戸の大仕掛け ~深川江戸資料館~

 

 

清澄白河にある深川江戸資料館。

天保年間の深川の町が実物大で再現されています。

 

 

「資料館」という名前ですが

時代劇のセットかテーマパークのようです。

 

 

ついさっきまでそこに住民がいたかのような

凝った作り込みがされていて

住民の一人一人のプロ―フィールも

ちゃんと設定されています。

江戸の下町に迷い込んだかのように感じさせる精巧な仕掛けです。

 

 

一日の移り変わりが音と光で再現され、

ボランティアの方々の丁寧な説明を聞くことができます。

 

 

今から見ればほぼスラムという感じもしないではありませんが、

それは巨大新興都市としての江戸の宿命でもあったでしょう。

 

 

戦の時代が終わった江戸時代には

武士にはやることがなくなりました。

「武士」という身分だけが残って

武士としての役割は消滅してしまいます。

彼らは仕事の無い一方的な「消費者」となります。

永遠の年金受給者というか生活保護世帯というかが

一斉に世の中に出現したことになります。

 

 

本来なら農村に寄生するだけの存在に成り下がった武士は

世の中から消滅してしまってもよさそうなものですが、

社会は全く別の力学、大いなるトリックで動かされます。

 

そこに起きたのは<消費革命>です。

消費するだけの武士に農村と町人が供給し

町人たちは二次消費者として都市を形成します。

ただ消費するだけけ何も生産しない武士という階級は

消費のプロとして消費を管理する支配階級に転じます。

消費を中心とした巨大都市が

いつの間にか世の中の中心になっていたのです。

世界の図と地が入れ替わるかのような驚愕の大仕掛けです。

 

 

需要が停滞すれば火事を起こして復興需要を作る。

意味もなく喧嘩をして無駄に時間を消費する。

火事と喧嘩は巨大消費空間である江戸の華だったのです。

 

 

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