幕末の内戦状態から東京奠都、それに続く近代化の出遅れによって
没落一方のノスタルジックな都であった明治の京都は
なんとか町おこしをしようと琵琶湖疏水を通しました。
閉塞状況の古い都に琵琶湖から新しい水を注ぎ込み
それを灌漑や生活用水だけではなく
水運や工業や発電にも利用して
京都をモダンな都市に変えようということです。
(従滋賀県近江国琵琶湖至京都水路目論見実測図)
そして水の近代化は緻密な計画と精密な測量に始まり
こんな感じで危険な難工事に挑み
がんばって
がんばって
がんばって
5年で到達しました
そして、日本で初めての本格的な水力発電をして
日本で初めて電車が走りました。
それから琵琶湖疏水の近代性を象徴するもののひとつとして
インクライン(傾斜鉄道)というものがあります。
落差の大きく舟の行き来ができない水路の横に線路を引いて、
台車に載せた舟をケーブルで引っ張ったものです。
その動力も疏水の水力発電によるものでした。
水力を電気に変えて水運の動力にするという
とてもエコでモダンでナイスなアイデアです。
当初はモダン・ハイブリッドであったインクライン舟運も
慌ただしい昭和の時代になると
すっかり時代遅れになって廃れましたが
今は産業遺産として復元されています。
明治にイギリスから輸入されていた古いレール。
1887年BARROW STEEL社製という刻印が見られます。
イギリスが工業国として光輝いていた
130年前のものです。
(復元のため幅や高さが揃わなかったようです)
インクラインを利用する舟の待合場所であった船溜は
今は様々な水鳥たちとって居心地のいいたまり場になっていてます。
そしてその鳥たちの一部は
さらに居心地のいい隣の動物園で飼われていたりします。