東京海洋大学の芝生の上に寝転がって明治丸を眺める。
明治丸は明治7年に竣工した英国製の灯台巡視船です。
灯台巡視が仕事のはずなのに、
小笠原を領有したり明治天皇の巡幸に使われたり
ついでに海の日の元になったりと華々しい活躍をして
20年ほどで第一線を退きます。
そしてここ海洋大学(当時の商船学校)で
練習船として自分の孫やひ孫の世代の学生を育てます。
その間、座礁したり米軍に接収されたりとたいへんな苦難に会いながら、
昭和29年には80歳で完全に引退します。
その後、国の重要文化財として
ビルに囲まれた海の近く芝生の上で
長い長~い余生を余生を送っています。
・・・現在140歳。
巡幸にも使われたということで凝った内装があることも特徴です。
甲板は左右に少しずつ傾いているので
上を歩いていると揺れているような感じがして
ちょっとだけ航海中の気分になれます。
船内で木製の床が鳴ると、さらにそれらしい感じがします。
そして狭い船室の中では、歴史上の有名無名の人々の息遣いを
すぐ近くに感じることもできます。
バーチャル・リアリティならぬヒストリー・リアリティです。
芝生の下に喫水を3m沈めて
芝生の上で70年、
この船はその長いまどろみの中で
明治の夢を
今も航海し続けているのかもしれません。
て、何かリアル幽霊船みたい・・・
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