一般就労と福祉施設での就労の間には大きな賃金(工賃)の開きがある。
では、同じ福祉施設の中ではどうであろう。
まずA型であるが、こちらは平均賃金が著しく低下していて、
A型の成立要件である最低賃金さえ確保できていない状況である。
そして平均値である69458円よりもかなり低い40000円あたりに
最も事業者が集まっている。
A型事業者数の急増に伴い、残念ながら収益力の低い事業者の比率が
高まってしまったと考えるのが妥当だろう。
では「B型」の方はどうだろう。
こちらは徐々にではあるが確実に工賃は上昇してきている。
工賃が2万円や3万円を超えて
下位のA型を凌駕する勢いのB型も増えつつある。
ただ、1万円や5千円のあたりにあるグラフの山は
働きに応じた報酬というより
切りのいい金額のおこずかいという感じがあり
その数字に合わせるために職員さんが動いているという印象もある。
上位25%と下位25%の間に工賃5倍の開きがあるのも
気になるところである。
賃金が10万円を超える<精鋭A型>の着実さ。
A型の巡航スピードに到達できないまま失速している<準A型>の増加。
B型の壁を突破している<超B型>の勢い。
就労よりも生活介助の比重が高い<生活B型>の大きな塊の存在。
といったものがこの二つのグラフから見て取れる。
単純なAとBでは割り切れない部分も多そうなので
制度設計の見直しが必要になってくるかもしれない。
そしてこうした現実に即した手堅い制度設計ができるかどうかが
官僚本来の腕の見せ所でもあるのだろう。
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