2017.11.9

奪われたアカンサス ~明治生命館~

 

 

昭和9年竣工の明治生命館。明治生命の本社だった建物で、

国の重要文化財です。

 

 

地上8階、地下2階。壁面に5階分のコリント式列柱がずらりと並ぶ

壮麗な傑作建築です。

施されたアカンサスなどの文様は繊細で見入ってしまうほどです。

 

 

建てられた当時もそうだったでしょうけれど、

今見てもここは日本ではないようにさえ見えます。

でも目の前にあるのは確かに皇居のお堀で、

後ろのあるのは増築(!)された明治安田生命の超高層ビル。

日本の近世と近代と現代が連続して共存しています。

 

 

設計は日本近代建築における「様式の天才」岡田信一郎。

大阪中之島の中央公会堂旧琵琶湖ホテルの設計者でもあります。

 

 

中に入っても、中央の広い吹き抜けは圧巻。

吹き抜けを囲む二階の回廊や各部屋の装飾も見応えがあります。

(この建物は土日を中心に無料で公開されいます)

 

 

この建物は再生・保存の状態が極めて良好で、

建築資料も整えられています。

何と言っても建設中の映像まで残されていて

それも公開されているのが素晴らしい!

昭和初期のビル建築の様子、蒸気式の重機で鉄骨が建てられたり、

基礎が打ち込まれたり、床にコンクリートが流し込まれたりする映像が

しっかり見られます。

 

 

戦後、この明治生命館はGHQに接収され、

空軍司令部として使われていました。

連合軍は東京を焼野原にしても、占領後の軍施設とするために

このあたりの建物は残したと言われています。

 

 

こちらは同じ通りにある第一生命館(昭和13年竣工)。

この建物も戦後接収され総司令部として使われました。

明治生命館と比べると素っ気ないようにも見えますが、

軍人であった最高司令官マッカーサーは

余計な装飾のないこちらのデザインを好んだのかもしれません。

 

 

GHQに接収された建物としてはこちらの方が有名ですが、

現在は外壁とマッカーサー記念室以外の部屋は

保存されておらず、公開もされていません。

 

建てられた当時もそうだったでしょうけれど、

今見てもここは日本じゃないように見えます。